不動産賃貸業 失敗談
今回は、私自身の話です。
とある収益不動産を購入しました。
郊外ではあるものの、駅から近い。利回りも悪くない。建物の見た目もきれい。
共用部分もきちんと清掃されていました。近くにはコンビニもある。
そして何より、ほぼ満室。空室は2室だけ。
そのうち1室には、すでに入居の申し込みが入っているとのことでした。
悪くない。
現地も見ました。空室の一部屋を内覧しましたが、きれいにリフォームされている。
そのまま購入を決め、手付金を支払いました。
決済前日、少し嫌な連絡が入る
いよいよ明日が決済。そんなタイミングで連絡がありました。
「一室、退去することになりました」
さらに、「申し込みが入っていた一室も、キャンセルになりました」
少し引っかかりました。ただ、もう決済前日です。仕事もある。物件までは距離もある。
「まあ、一室退去くらいはあるか」「申し込みが流れることもある」そう考えて、予定どおり決済しました。
今振り返ると、無理してでも見に行くべきだった。
決済後、見に行ってみた
購入後、改めて物件を確認しました。
まず、前日に「退去した」と聞いていた部屋。
部屋を見て、ん?となりました。
昨日まで人が住んでいた部屋には、どうも見えない。明らかに、かなり長い間使われていないように見えました。
そして、もう一つ。「申し込みが入っていたけれど、キャンセルになった」と聞いていた部屋。
こちらも確認。
リフォームされていない。
本当にここに、入居申し込みが入っていたのだろうか。だんだん嫌な感じがしてきました。
不動産会社に確認
当然、不動産会社へ連絡しました。状況を伝えて、「これはどういうことですか?」と確認。
返事は、「確認します」
その後、きちんとした回答はありませんでした。
嫌な予感はしていました。ただ、この時点では、まだ本当の災難は始まっていませんでした。
1か月後。「10室退去します」
購入から約1か月。今度は、複数の部屋を法人契約していた入居者から連絡が入ります。
10室、退去。
……10室?
ほぼ満室だと思って買ったアパートです。
一気に状況が変わりました。これはさすがに困る。
そこで、別に複数室を借りてくれていた入居者に、「追加で何室か借りてもらえませんか?」と相談しました。
すると、思ってもいなかった言葉が返ってきました。
「この物件、事故物件って知ってました?」
え?知らない。
さらに、「そもそも、そんなに人入ってなかったですよ」と言われました。
ちょっと待ってくれ。
ほぼ満室だと聞いて買った。退去したのも決済直前だと聞いていた。申し込みが入っている部屋もあった。
ところが、購入後に確認すると、昨日まで住んでいたとは思えない部屋。申し込みがあったとは思いにくい状態の部屋。
そして、購入1か月後の10室退去。さらに、「そんなに人は入っていなかった」という話まで出てきた。
さすがに、これは何だったんだ。となります。
でも「おかしい」と「証明できる」は別の話
当然、腹は立ちます。訴訟も考えます。ただ、ここが難しいところです。
相手から、
- 「実際に入居契約はありました」
- 「退去時期はたまたま重なっただけです」
- 「事故のことは知りませんでした」
と言われたらどうなるのか。
こちらが感じている違和感と、裁判で証明できることは別です。
弁護士費用もかかる。時間もかかる。そして、勝てる保証もない。
今でも、かなり疑わしい取引だったと思っています。
ただ、それ以上に、「決済前日に、もう一度見に行かなかった」ことを後悔しています。
満室だから安心、ではなかった
収益不動産を買うとき、
- 利回りを見る。
- 立地を見る。
- 建物を見る。
- レントロールを見る。
- 入居率を見る。
もちろん全部大事です。
でも、この経験以降、「本当に人が住んでいるのか」という当たり前のことを、以前より気にするようになりました。
書類上は入居中。家賃も発生している。だから大丈夫。
そう思いたくなります。
でも、大きなお金を払う直前に違和感が出たなら、一回止まって、自分の目で確認する。
面倒でも。遠くても。決済前日でも。
あのとき見に行っていたら、購入を止められたのか。条件を変えられたのか。結局買っていたのか。
今となっては分かりません。
ただ、「まあ大丈夫やろ」で決済したことだけは、今でも反省しています。