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相続・お金

実家相続

水谷 武志

相続の仕事をしていると、「そこから揉めるのか」と思うことがあります。

今回のきっかけは、古いテレビでした。

親が亡くなり、実家を相続することになった70代の3兄弟。

そのうちの一人は、親が亡くなる前から実家の整理を手伝っていました。
片付けを進める中で、もう使っていない古いテレビがあった。
他の兄弟にも声をかけたうえで、自宅へ持って帰りました。
本人としては、特別なことをしたつもりはなかったと思います。

ところが、後日の法事。
その話になったとき、長女から、「泥棒と一緒」という趣旨の言葉が出ました。

誰かが悪かった、という話でもない

持って帰った側からすれば、「ちゃんと声をかけた」という認識です。

以前から実家の整理もしていました。
一方で、長女からすれば、「相続するものを勝手に持って帰った」と感じたのかもしれません。

どちらかが財産を奪おうとしたわけでもない。高価なテレビでもない。
それでも、一度こんな言葉が出てしまうと、話はテレビだけでは終わらなくなります。

「他のものも勝手に処分していないか」「自分が知らないところで何か決めていないか」
少しずつ疑心暗鬼になっていきます。

兄弟だから分かり合える、とは限らない

相続の相談を受けていて感じることがあります。

兄弟というのは、不思議な関係です。
子どもの頃は同じ家で暮らし、言葉にしなくても分かり合えた。
でも、70代になれば、それぞれが50年近く別の生活をしています。

家庭も違う。お金に対する考え方も違う。物に対する思い入れも違う。
昔はツーカーだったとしても、今も同じ感覚とは限りません。

親の相続をきっかけに、久しぶりに兄弟だけで大きなことを決める。
そこで認識の違いが表に出ることがあります。

遺品は、値段だけでは判断できない

相続というと、

  • 預金はいくらあるのか。
  • 不動産はいくらなのか。
  • どう分けるのか。

どうしても金額の大きな財産に目が向きます。

でも実家には、それ以外のものが大量に残っています。

家具、食器、時計、写真、衣類。そして古いテレビ。
金銭的にはほとんど価値がなくても、扱い方によっては兄弟間の感情を動かします。

だから実家を整理するときは、「価値があるか」だけではなく、「他の兄弟がどう思うか」も少し考えておいた方がいいのだと思います。
全部について兄弟全員の了承を取るのは現実的ではありません。

ただ、

  • 「これは持って帰る」
  • 「これは処分する」
  • 「これは一度みんなに聞く」

簡単にでも情報を共有しておく。それだけで避けられる行き違いもあります。

70代になってからの兄弟喧嘩

この話で一番残念だったのは、子どもたちの反応でした。
親たちが高齢になってから兄弟喧嘩をしている。しかも、きっかけは古いテレビ。
それぞれの言い分を聞けば、どちらの気持ちも分からなくはありません。

だからこそ、もったいない。

相続の手続きそのものは、いつか終わります。でも、兄弟の関係は、その後も残ります。

相続の仕事をする側としては、財産をきれいに分けることだけでなく、相続が終わったあとも、できれば普通に兄弟で話ができる。

そこまで含めて無事に終わる相続が、一番いいのだろうと思っています。

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