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相続・お金

相続の登記ありがちなミス

水谷 武志

相続実務では、たまにあります。

親が亡くなった。実家を相続することになった。遺産分割協議も終わった。相続登記をして、自分の名義になった。
よし、これで売れる。

不動産会社に売却をお願いして、話も進んでいく。

ところが、「あれ? この土地、まだお父さん名義ですよ」となることがあります。

固定資産税の通知書に載っているものが全部……とは限らない

相続した不動産を調べるとき、固定資産税の納税通知書を参考にすることがあります。
毎年役所から届くので、「ここに載っている不動産が、親の持っていた不動産全部だろう」と思ってしまいがちです。
ところが、そうとは限りません。

例えば、

家の前の道路部分。
近所の人たちと共有で持っている私道だったりします。

マンションなら、駐輪場や集会所などの共用部分に、別の権利を持っている。
そんなケースもあります。

こうした不動産や権利が、普段見ている固定資産税の資料からは分かりにくいことがあります。

実家は自分名義。でも前の道路は父親名義

建物と土地の相続登記は終わっている。
だから本人としては、「相続登記は全部終わった」と思っています。

ところが、売却するときに詳しく調べてみると、家の前の私道だけ父親名義のまま。
マンション本体は相続できているのに、別に登記されている共用部分だけ親名義のまま。
一つだけ取り残されている。

これが意外と厄介です。

もう一度、遺産分割の話をすることになる

見落としていた不動産について、改めて相続手続きが必要になります。
最初に遺産分割協議をした兄弟が全員元気で、関係も良ければ、「これ漏れてたから、もう一回お願い」で済むこともあります。
手間はかかりますが、まだいい。

困るのは、それから何年も経っている場合です。

例えば、最初に遺産分割協議をした兄弟の一人が、すでに亡くなっている。
そうなると、その人の相続人が関係してくることがあります。

  • 配偶者。
  • 子ども。

場合によっては、さらにその先へ。

最初は兄弟だけの話だったのに、関係する人が増えていく。
こうなると、話は少しずつ複雑になります。

金額が小さいからこそ、難しいこともある

見落としたのが、実家そのものなら皆さん真剣に話します。

でも、

  • 「家の前の道路の持分だけです」
  • 「マンションの共用部分だけです」

となると、「それだけのために、また実印押すの?」と思う人がいても不思議ではありません。

財産的な価値はそれほど大きくない。でも、売却するためには整理しないといけない。
小さな権利一つが、売却全体を止めてしまうことがあります。

そして人が増えれば、考え方も増えます。
単なる手間で済めばいいのですが、下手をすると新しく揉めるきっかけにもなります。

最初に一度、ちゃんと調べておく

こういう案件を見ると、相続登記は、書類を作ること以上に、「亡くなった方が、どんな不動産を持っていたのか」を最初にきちんと確認することが大切だと感じます。

固定資産税の納税通知書は、とても参考になります。ただ、それだけで判断しない。

登記の状況や役所の資料なども確認して、不動産を一度洗い出してみる。
何も出てこなければ、それで終わりです。

でも、何年も経ってから、「一個だけ残ってました」となるよりは、その方がずっと楽です。

相続登記をして、「これで終わった」と思ったときこそ、
本当に全部終わってる?
最後に一度確認しておく。

相続実務では、結構大事なところです。

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